Prologue

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0.序章


白い聖堂の中で少女は一人だった。
草木の呼吸さえも聞こえてきそうな、いや、それさえも飲み込んでしまうような無音の世界。

聖堂の高い位置にある、透明な硝子を嵌め込んだだけの窓。その奥で、月が自らとは対照的な色をした夜空から、暗海に浮かぶ真珠のように真白い光を落としていた。


月光を流した長い白銀の髪を床に散らして、少女は天へと手を伸ばす。


不意に静寂の膜を破って、旋律が辿られる。傷口に染み入るような歌声は、少女の口から発せられたものだった。

脆く儚い、けれど確かな、澄んだ歌。
それは歌と言う名の祈り。祈りに似た、彼女の願い。


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